スクールの授業を一通り受け終えると、いよいよ就職活動です。
この時点ではまだまだ仕事としてWEBサイトを作る自信などありません。
WEBデザイナーではなく、未経験OKのアシスタントやアルバイトに片っ端から応募しました。
私が就職活動を始めた頃は、すでにWEBデザイナーは人気の職業でした。
面接でも「今回は思いがけず多数のご応募をいただいて・・・」とか「応募人数が多く、申し訳ないのですが採用できる人数はほんの少しなんです」といった説明をされることがほとんどでした。
そんな就職活動を4ヵ月ほど続けて、さすがに精神的にも参ってきました。
6ヶ月分の失業保険を大事に使い、9ヵ月分ぐらいの生活費は確保できていました。
(前職がボーナス無しの年収月割り制だったので、失業保険の計算規準となる「月給」が高かったのも助かりました)
しかし、スクール時代+就職活動期間を合わせると、まさに9ヶ月。
そろそろそれも底を尽き、貯金に手を出さなくてはいけない段階が近づいてきます。
今になって思うと、私が就職できないのは当たり前でした。
作品として見せていたサイトは、個人的なドットアイコンの配布サイトと仮定の店と会社を想定したサイトが1つづつの、計3つ。
作品数が圧倒的に少なかったし、レベルも低いものでした。
せっせと応募をするよりも作品のレベルを上げる。それが無理なら数を増やす。
振り返ってみるとわかるのですが、最中にいるときにはなかなか気づけないものです。
とにかく応募しなければ受からないと焦ってしまい、応募できる会社を探すこと、面接にとりつけることばかりを考えていました。
そんな時に、1本の電話が鳴りました。
インターネット・アカデミーの卒業生が登録できる派遣会社『ウェブスタッフ』からでした。
スクール終了と同時に登録は済ませていましたが、卒業生が数多く登録しているため未経験の仕事への倍率が高いと聞いており、仕事がもらえるだろうという期待はほとんどしていませんでした。
向こうから仕事がやってきた!と驚きながら受け答えをしていると「イラストは描けますよね?」と訊かれました。
なぜ確認調・・・と思ったところ、今回の仕事は先方から「イラストも描ける人」という要望とのこと。
スタッフの方は、ドットアイコンのサイトと、美大を出ていることから絵が描けるのだろうと判断したようなのです。
正直なところ、その段階ではイラストは描けませんでした。
落書きを描くことはありましたし、授業で習ったデッサンの技術は持っていました。
しかし、日常的にイラストを描いているということはなかったのです。
けれども、ここで描けないと答えれば、仕事がもらえないことははっきりしています。
私はきっぱりと「描けます」と答え、電話を切った瞬間から猛然とイラストの練習をし始めました。
旅行会社の仕事だったため、そこのサイトで使われていた飛行機やハイビスカス、パイナップルの絵などを描きました。
といっても、翌日が顔合わせで、OKならばそのまま働き始めるというスケジュールだったので、たいした時間はとれませんでしたが。
こうして私は、未経験ながらもWEBデザイナーとして初の仕事に就職することができたのでした。
これを読んで「この人は美大を出ているから就職できたんだ」と思う方もいるでしょう。確かにその通りです。しかし、大切なのは「+α」ということなのだと思います。
+α になる技術で詳しく書いてありますが、同じ未経験者の中で、どのように差をつけて雇ってもらうかということ。就職活動が思うように進まない時は、考えてみるべきではないでしょうか。